コイルとは紐状のものを螺旋状にぐるぐると巻いたもので、その形状のものの総称を指します。そのなかで電子、電気機器におけるコイルは電線を用いて作られており、インダクタとも呼ばれています。コイルは電子回路で非常に重要な役割を担っており、抵抗器とコンデンサに続き三大受動素子(RLC)の内の一つです。私たちが日常で使っている電化製品にもコイルは使用されており、実は非常に身近なものでもあります。コイルにはどのような役割があり、どのような働きをするのか、ここでは一部を紹介します。
コイルの役割
• 電流を安定させる
ノイズを除去し、電流の変化を吸収し抑えることができます。
• 電圧を上げ下げする
交流の電圧はトランス(変圧器)を通じて変換させることができます。トランスには2つのコイルが用いられており、それらを鉄芯に巻き付けて作られています。
• 電流の種類によって作用を変える
直流電流は通しますが、交流電流に対しては抵抗のように働き通しにくい性質があります。また、周波数によって必要または不要な信号を選り分けます。
コイルの性質
コイルには特有の性質があり、それを上手く利用することで上記のような働きが可能になります。まず代表的な特徴として、コイルは電気を流すことにより周りに磁界が発生し磁石になります。この磁力は中に鉄心を通すことで更に強まります。一般的な永久磁石とは異なり電気を流したときのみ磁石になるため、この便利な性質を活かしモーターやリレーなどをはじめとした部品にコイルは使われています。
反対に、磁石をコイルに近づけたり離したりすることでコイル内の磁場が変化し電流が発生します。この現象のことを電磁誘導と言います。そして、電磁誘導で流れる電流のことを誘導電流と言い、生まれる電圧を誘導起電力と言います。電磁誘導は上手く利用することで電流を生み出し続けることができるため、発電機などにも利用されています。また、コイルの巻き数を増やす、磁石の磁力を強める、磁石を速く動かすことで誘導起電力は大きくなります(インダクタンスが増加する)。下記の図は電磁誘導における磁力と誘導電流の流れる方向を表しています。
コイルの種類、用途
コイルには様々な働きがある分、形状や巻き方を変え多くの種類、形が存在します。ここではその中からいくつかの例を取り上げています。
• チョークコイル
ラジオなどにも用いられている不要な電流を制限するための一般的なコイルのことを言います。比較的周波数の高い電流は阻止し、直流電流または周波数の低い電流は通します。
• バーアンテナ
アンテナにもコイルは使われています。バーアンテナはコイルをフェライトなどの磁性体に巻き付けたもので、ラジオなどの受信機に使われます。他にもループアンテナというアンテナなどにも巻き方を変えコイルは用いられています。
• 電源トランス
電圧を変換するトランスもコイルを用いて作られています。その中でも電源トランスは電気機器の入り口に内蔵されており、コンセントからの電圧をそれぞれの機器に合わせた電圧に変換する役割を担っています。